教育哲学会第50回大会報告

 

 教育哲学会第50回大会は,創立50周年の記念の大会となり,2007年10月13日(土),14日(日)の両日,広島大学大学院教育学研究科を会場として開催されました。地方大会でしたが,参加者は一般会員,臨時会員を含めて220人を数えましたし,懇親会にも140人を越える皆様にご出席いただくことができました。今大会では,学生・非常勤職会員の参加費・懇親会費を少しでも軽減する工夫をしました。

 一般研究発表は38件の申込みがあり,第1日・第2日とも4室を設定しました。内訳は,若干恣意的ですが,英米語圏研究が9件,ドイツ・北欧語圏16件,フランス語圏3件,日本語圏4件,古典語2件,また一定の言語圏にとらわれない課題型研究が4件でした。発表題目からは,「語り・レトリック・言語・対話」「生・死」 「文化概念・価値・芸術」「時間・歴史・記憶」「学校・教師・教育関係」「自己変容・生成変化」「子ども・遊び」「教育学と哲学・研究方法論」「自然」といった重複するキーワードを拾うことができます。

 二つのシンポジウムのうち理事会企画課題研究「教育哲学を考える−回顧と展望−」は,三人の元代表理事・上田薫先生,村井実先生,和田修二先生に提案をいただき,小笠原道雄代表理事・原聡介理事の司会により論議が展開されましたが,教育哲学会の50年を振り返るよりむしろ現在及びこれからの教育哲学研究の課題を提示していただくこととなりました。開催校企画研究討議「これからの教育哲学研究を考える」は,小野文生会員,野平慎二会員,藤井佳代会員の提案,松下晴彦会員,丸山恭司会員の司会で,前日の課題研究を受ける形で,これからの教育哲学研究を担う「若手・中堅」メンバーにより活発な論議が展開されました。

 ラウンドテーブルは,岡部美香会員企画「教育関係論の射程」,小笠原道雄代表理事・森田尚人理事企画「戦後教育哲学の出発めぐって−」,小玉重夫会員企画「現代リベラルデモクラシーにおけるシティズンシップと教育」の三件で,大会日程の最終企画にもかかわらず多数の参加がありました。

 近隣の宿泊施設も十分ではなく,開催校の準備不足のため,多くの皆様にご不自由をおかけしたことと存じます。お詫び申し上げますとともに,記念となる第50回大会を何とか成功裏に終えることができましたことを,ご協力いただいた会員の皆様に心から御礼申し上げます。

 

                                第50回大会準備委員長 坂越正樹