課題研究
教師にとっての心・生命
−人間的自然/教育可能性/完成可能性の現在−


 テンブルックによる「社会学者」ヴェーバー像への異議申し立て以来、パーソンズによって敷かれたジンメルに始まる社会学史の解釈カノンは崩壊したと言われる。 翻って教育学では、近代学校と教員養成という制度的支えの上に、ヘルバルトよりこの方自立した「学科」としての命脈を維持し続けてきたかに見えるが、 同様な危機に直面していることは言を待たない。 近年の近代批判や文化批判の大波を受けて、教育研究はその表面的な拡大と科学化の反面で、 学問としての存亡を掛けた問いかけに晒されているわけである。
 こうした思潮動向を顧みながら教育哲学では、一方で今日隆盛を極めているかに思える脳科学や遺伝子工学など生命科学の方法的立場や知見を、 他方で文化問題としての教育という視点を如何に取り込むこと、すなわち新しい生命観や身体論、さらには人間概念の再構築を、 つまりは新たな「人間学」の方法と成果を教育の視座より如何に理論化するかが緊要な課題となっている。 このシンポジウムは、こうした問題を行動遺伝学、ユング心理学そして教育思想史等の視点によりアクチュアルに問おうとするものである。



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